上場企業の役員研修にて、「資本コスト・ガバナンス実践編」のセミナーを実施しました。
弊社の代表の田中が、先日、上場企業の役員層を対象としたクローズド研修に登壇し、「資本コストを踏まえた経営・ガバナンスの実践」について講義を行いました。
■ 講義テーマ
「資本コストの実践理解と、株式市場から見た自社の姿」
〜 株価・ROE・資本効率・アクティヴィズムを踏まえた役員の意思決定 〜
本講義は、代表田中がこれまで多数の上場企業支援で蓄積してきた知見を基に、
「株式市場は上場企業をどう見ているのか」
「役員は何を理解し、どこに意思決定の軸を置くべきか」
を実践的なフレームで解説したものです。
■ 本講義が実施された背景
直近10年で、上場企業を取り巻く資本市場は大きく変革し、以下のような環境変化が背景にあります:
- コーポレートガバナンス・コード(CGコード)導入による、役員の説明責任・対話責任の強化
- 東証による PBR1倍割れへの警鐘
- 海外アクティヴィストの急増と、公然たる提案行為の一般化
- 事業会社による敵対的M&Aの容認姿勢
- 投資家が「資本効率」「余剰資金」「還元方針」をより厳しくチェックする時代へ
これらの潮流により、経営陣/役員にはこれまで以上に金融リテラシー・戦略性・説明力が求められています。
■ 講義内容ダイジェスト
1. 上場企業を取り巻く株式市場の激変(過去10年)
- CGコード導入以降、株主の要求への対応は義務化され、無視することは困難に。
- アクティヴィストの増加により、経営方針・還元方針の明確化は必須項目に。
- 親子上場・過剰な現預金・非事業資産保有は、特に指摘されやすいテーマ。
2. なぜ役員に資本コスト理解が必須なのか
- 資本コスト=投資家が最低限求めるリターン。
- ROE > 資本コストが必要となる理由
- 過去の日本企業の失敗は「資本コストを軽視した経営」。
3. 自社がもし◯◯をしたら? というシミュレーション
以下のようなケースでROEがどう変化すると同時に、投資家がどのような反応をするかを比較し、資本市場を意識したアクションを解説しました。
- Case① 配当 or 自己株買いで株主資本を削減した場合
- Case② 成長分野に投資した場合
- Case③ もし特段の使い道なく増資をした場合
- Case④ 余剰資本を溜め込み、更に非事業投資へ
4. 海外アクティヴィストによる実際のアプローチの紹介
講義では、守秘義務の範囲内で、以下のようなアクティヴィストのアプローチや公開キャンペーン等を解説。
- 過去に実際に起きた公開キャンペーン
- その要求事項
- 経営陣の対応と市場の反応
などの紹介をし、参加役員からも高い関心が寄せられました。
5. 中期経営計画に求められる「資本効率」と「説明責任」
- 事業計画値の設定、投資計画の明確化
- ROE目標、還元方針
- セグメント別の成長戦略と投資判断
- 余剰資金の使途を曖昧にしないこと
など、株式市場が求める“型”を、実例を使って解説しました。

